はじまりのアリス


「諏訪野……悪い。俺本当に弱くてなにもできなくて……」

今だって手で傷口を手で押さえることしかできない。


「あの厄介な部位は全部倒した。もう再生できねーようにこれでもかってくらいやり返してきたから安心しろ」


あの数をたったひとりで……。

本当に諏訪野は強い。

外見や言動で諏訪野の人柄を勝手に決めつけてしまっていたけど、諏訪野がいなかったらきっとここまで残ることはできなかった。


「わるい諏訪野……わるい……」


もっと分かり合えたかもしれない。
もっと協力できたかもしれない。

今さらそんな後悔ばかりが胸を締めつける。


「なあ、篠原。本当はこのゲーム繰り返してんだろ?」

か細くなる息で諏訪野が言った。


「ど、どうしてそれを……」

「……はは、やっぱりそうか」

これでやっと確信したって顔。

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