はじまりのアリス


見覚えのある筆跡。

そしてポケットに手を入れると、自分のものではない銀色のサバイバルナイフ。


――『殺して。隣の私を殺して。潤』

そんな声が耳の奥で聞こえてくる。


「ん?どうしたの?」

腕を掴む〝美織〟がニコリと微笑みながら俺を見上げていた。


ざわざわとずっとずっと、なにかがうるさい。


このメモ用紙がどんな意味を持つのかは分からない。

だけど、信じられるものだって。

信じなきゃいけないって俺の全細胞が叫ぶ。



「……美織」

俺は名前を呼んだ。


振り下ろしたのはナイフか、それとも心配するなという言葉の優しさか。


その行方を見守るように、漆黒に浮かび上がる丸い月だけが俺たちをずっと見つめていた――。



【はじまりのアリス 完】

< 149 / 149 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:80

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

青の先で、きみを待つ。
[原題]翼をなくした天使たち

総文字数/116,990

青春・友情198ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
もしも私に翼があったなら 空を飛んで自由になりたいなんて 願わなかった。 私が願うのはただひとつ。 「こんな世界消えてしまえ」 そう思って踏み出した一歩。 その先にあったのは――。 原題「翼をなくした天使たち」 \2022年6月25日 書籍発売/ こちらは改稿前の物語です。 書籍版では大幅に修正しております。 サイトとの違いもお楽しみいただけたら嬉しいです。 よろしくお願いします!!
世にも奇妙な買取屋

総文字数/19,681

ホラー・オカルト16ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 闇闇商店街にある、世にも奇妙な買取屋  そこにはイチカ♦️とニカ♣️という双子がいて  奇妙な話を買い取ってくれるらしい ♦️「奇妙な話ならなんでもオッケー!」 ♣️「でも、一度買い取った話は僕たちのもの」 ♦️「記憶から消えちゃうから、本当に売りたい人だけ利用してね!」 ♣️「今日はどんな奇妙な話に出会えるかな?」 ♦️「考えただけでワクワクしちゃうわ♡」 ♣️「あ、ほら、お客さんが来たよ」 ♦️「いらっしゃいませ! あなたの奇妙なお話を聞かせてください」
こわいテスト〈社会〉

総文字数/2,818

ホラー・オカルト10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
こ わ い テ ス ト (10問)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop