Butterfly
「――――――ユーリ、交代だ。」

一つ年上の同僚が、そう言いながら俺の方に近づいてきた。

(あぁ、もうそんな時間か……。)

俺は、ポケットに入っている時計を出し時間を確認した。
時計は、ちょうどⅦの位置に長針があり、自分がこのドアの前に立って二時間経ったことを告げていた。



俺は同僚に一度頭を下げるとそのまま王宮の見回りの任務に入った。

本日、ロザイア王国の王宮では近隣の国や国内の貴族を集めての舞踏会が催されていた。
そのため、王宮に仕える騎士や兵士は、王宮内、王宮付近の警備に割り当てられていた。
もしも隣国の貴族に何者かが襲いかかったりでもしたら、すぐに戦争に入ってしまうかもしれない。

今は、表面上うまくやっているようだが、この国と隣国の関係はまだまだ浅く少しのことでも、信用は崩れ去るのだ。

だから、本日俺達に休む時間などはほとんどない。明日の朝までは基本、交代で仮眠をとりながら王宮の護衛の任務に精を出すことになる。


まぁ、これもしょうがないことだ。自ら望んで騎士になり、王子に仕えているのだから。
ただ一つ、文句を言えるなら。俺の役職は、王子の護衛のはずだが……



それも人数の少ないこの国ではしょうがない話かもしれない。
俺は一人、話を締めて王宮内部――――舞踏会の行われている方に足を進めた。

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