不良くんと鈴の音






「……説教でもしに来たかと思った」


力が抜けたかのように
その場にしゃがみ込む浜寺くん


「鈴の音が聞こえたから……」

「また鈴かよ…」


鈴は浜寺くんを見つけると
自然と聞こえなくなる



浜寺くんの元に


鈴が…

導いてるように



「…」

「…ごめん」



無表情なのに
目だけ切なそうに

私をまっすぐ見つめる浜寺くん

捨てられた子犬みたいに
うるうるとした…


私は耐えきれなくなって

浜寺くんの頭をぐしゃぐしゃと
思いっきり撫でた。



「…….何」


「ごめん、何か…つい」

「……変な奴。」



あ、


笑った……




一瞬だけど、確かに笑った。
笑ったというよりか微笑んだ。

その顔は無表情より遥かに素敵で
可愛いくて愛おしくて…


その瞬間

不倫なんかどうでも良くなって


また一歩君に近付けた事が
ただただ嬉しかった。





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