君との距離は1メートル 【完】
青葉高校文化祭 杏奈side




11月の初め。




私が転校してから2ヶ月が経とうとしている。



私は吹奏楽部に入ってもう一回フルートをやろうと思ったけど


フルートのソリストになる、という夢を持っていたので入るのをやめて教室に通うことにした。



なんのためにここに来たんだって感じだけど、ソリストになりたいと強く最近思うようになったから。


愛巳はがっかりしてたけど、分かってくれた。




そして、光君も。

教室はほとんど毎日。特に水曜日は先生の都合で夜の10時に帰ってくる事になる。


だから水曜日は光君と会うことが出来なくなった。



毎日会いたいのに。


光君と話してると本当に楽しい。もちろん愛巳や奏子と話すのも楽しいけどね。



でも、光君と話すときほど心が温まる瞬間ってなかなかないんだよ。




不思議な気持ち。でも嫌じゃない。




「はい、みんなきいてー」



先生の声に現実に引き戻される。



糸先生が教卓の前に立って話していた。



黒板には大きく青葉祭と書かれている。





「青葉祭ってなに?」



席替えをして隣になった愛巳にきく。



「ああ、文化祭だよ。まぁ、うちらも初めてだからなにするか知らないけど」



文化祭かぁ〜。



みんなにとっても、私にとっても高校で初の文化祭。

きっと食販とかお化け屋敷とか、楽しいんだろうな〜。




「青葉祭っていうのは文化祭の事で、各クラス出し物するんだけど1年生は食販は禁止だから。それ以外で考えてね!」


先生はそう言うと実行委員の子に進行を任せた。




「それじゃあ、何か提案ある人いませんか?」



前に立った実行委員の明美ちゃんがクラスのみんなに向かって聞く。



「ちなみに、お化け屋敷は真っ暗にする事は出来ないからあんまり怖くはならないと思います」


明美ちゃんが文化祭についての紙を見ながら説明してくれる。

それ以外にも、予算や使う材料の事など割と厳しく決まっているっぽい。




漫画とかでは自由なのに、現実そうもいかないか。




ちょっぴり残念だな、と思いつつ他に出来ることを考える。



< 126 / 384 >

この作品をシェア

pagetop