君との距離は1メートル 【完】



ーーーー……

ーー…



「それでね~愛巳がさ~」



うん、うんと頷きながら話を聞いてくれる光君。





只今夜の9時半。in 私の家。





光君とまた今日もくだらない話しをする。





「そうそう。誠がね、一緒に回ろって言ってきたんだけど、光君もどお?」





「え…」




文化祭の話になって、今日誠と話したことを光君に伝える。


「あ、愛巳とかもいるしもちろん須藤君も一緒に!」




あまりにも驚いた表情で見るから急いで付け加えた。




「いや、そうじゃないんだけど…」



眉を下げて困ったような、不安そうな顔になった光君はそう言うけど最後の方にいくにつれて言葉を濁らせるので何を言っているか分からない。




「もしかして嫌だったりする?」




そんな風には考えたことなくて、と言うか光君の事だからそんなの無いって思ってたけど…。





「誠って…柴田?」




「え?そうだよ?」





てか私たちの中では須藤君と柴田君しか誠なんて名前は出てこないと思うだけど…。





「前まで君付けだったのに…



仲いいんだね」




困ったような表情のまま笑う光君に


何故かぎゅっと心が締め付けられる。





「いや、元はあたしが間違えて呼び捨てしちゃったらいいよっていってくれただけで…


間違えてなかったら呼んでないしね!」




どうしてこんなに焦って言い訳するんだろう。






どうして困った顔なんてするの…?






「杏奈」






「えっ?」





不意に呼ばれた名前に肩をビクッと震わす。




「杏奈…って誠が呼んでるなら俺も良い?」





さっきまでの困った顔はもうそこにはなくて



またいつもの


可愛らしいエクボが出来る笑顔をこっちに向けていた。





「…っもちろん!」





いつもの笑顔のはずなのに、なぜかドキドキと胸の鼓動が速まって声が裏返った。




「あはは!声裏返った~」



「~~っ、もー!」
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