臆病者達のボクシング奮闘記(第四話)
「この事は森谷に言うなよ。試合まで時間が無いからな。……来週の月曜日は最後のスパーをするんだが、また森谷とガチでやれるか?」

「何とかやってみます。……ただ、あの左ショートフックには気を付けますよ。あれはカウンターじゃなくても効きますからね」

「あのパンチは、インハイの予選で負けた時から、インファイターを仕止めるつもりで練習してきたからな」

「森谷も何気にいいモノ持ってますからね。……ちょっと大崎を見てきます。アイツに右クロスの改良した技を教えたいんで」


 石山は、そう言って後輩に歩いていった。


 この日、三年生達の指導は夜遅くまで続けられた。


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