自動車学校の夏
「どうした? のん?」
アタシは、となりにいるのぞみに声をかけた。のぞみは大学の友達。部活が大変そうだけど、半ば無理やり説得して連れてきた。

「いや、ほんっまに田舎やなあ、と思って…。」

 姫路育ちののぞみには、そう思えたのだろう。確かに、アタシの地元と変わらないくらい田舎だ。


「なに言っとるがけぇ? アタシの地元はこんなもんやちゃょ。」
田舎を思い出して思わず出る方言。


「そうなん?」
びっくりした様子ののぞみ。



プップー


駅の前にとまった車がクラクションを鳴らしている。


「あ! 美樹さん!」

駆け寄るアタシとのぞみ。



「なつみちゃん、おひさしぶり☆ 元気だったぁ?」
博多美人の美樹さん。香川で小学校の先生をしている26歳。すごく明るくて、可愛くて、何かしらアタシと性格が似ている。今は、香川が地元の彼氏と婚約中。

「はい、元気です☆ じゃぁ、今日はよろしくお願いします!」


「はいよー。じゃあ、荷物後ろ積んだら、後ろの席座ってもらえる?」


美樹さんの車に荷物を積むアタシとのぞみ。
2週間分の荷物だというのに、のぞみの荷物は有り得ない大きさだ。


「よろしくお願いします。」

そう言って、美樹さんの車に乗り込んだ。
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