クールなキミとの恋模様


美雨といると、自分の惨めさを呪いたくなる。



彼氏、ね……。


彼氏……。


そんなんじゃないのに、ホントのことなんて言えるワケがない。



「恐そうな人だけど、ナツが選んだ人なら……きっと素敵な人なんだろうね。ナツをよろしくお願いします」



無表情のあたしに気付きもせずに、美雨は今度は爽に向かって無邪気な笑顔を向けた。



未だに掴まれたままの腕。


その拳を思わずギュッと握り締める。



「ああ」



そう短く返事をする爽の声は、いつもと同じように興味のなさそうな声だった。


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