クールなキミとの恋模様


「知ってる」


ボソッと呟かれた言葉。


「こんなところに突っ立ってて悪かったな」


「え……?」


桐谷が謝った……?


「なんだよ?」


「い、いや、なんも」


だってまさか、自分の非を認めるなんて。


いかにも俺様系でプライドが高いと思っていたから、意外な反応にビックリしたっていうのが本音。


「変な奴」


唇の端を小さくあげてフッと笑った桐谷は、そう言い残して去って行った。


周りの男友達や取り巻きの女子たちも桐谷に続く。


ホッ、やっと解放された。


「ちょっと小夏〜!今のはなにぃ?」


「な、なんでもないよっ」


「そんなことないでしょ。真央が見る限りでは、桐谷くん笑ってたしぃ」


「あれは笑ったとは言わないでしょ」


ほくそ笑む、のまちがいじゃない?


「まぁ、いいけどぉ。あ、奈子が手を振ってくれてるよぉ。行こっ」


注文したものをカウンターで受け取ると、奈子が確保してくれた席でそれを食べた。


食べ終わった時にはすでに桐谷の姿はなく、取り巻きの女子たちも消えていた。


< 17 / 383 >

この作品をシェア

pagetop