方言男子に恋をした
…あれ？
昨日は敬語だったけど、標準語ではなかったよね？
間に関西のイントネーションとか、京都弁が入っていたのに…。


「詩織先輩！」

「は、はい⁉︎」

「自己紹介、詩織先輩の番ですよ」


ボーッと考えている間に、3人とも自己紹介が終わったらしい。

一言も聞いていなかったことを反省しつつ、佐久間課長に自己紹介するため向き直した。


「松田詩織です。何かあれば遠慮なく聞いて下さい」

「…先輩、かたいです」


呆れた風に美宇ちゃんが言った。

だって出来る限り関わりたくないと言いますか…一夜過ごした相手ににこやかと自己紹介なんて出来るわけがない。

しかも逃げたし。（お金は置いたけど）

佐久間課長はそんな私のかたい自己紹介に、困った風を醸し出しながらも誰が見ても分かるぐらい綺麗に微笑んだ。

何よこの人…！
何でそんなに綺麗な微笑みができるのよ‼︎


「詩織先輩…何怖い顔してるんですか？」

「放っておいて」


私は美宇ちゃんの言葉に、げんなりしながら返した。

これからのことを考えると憂鬱でしかない。
こちらはもちろん、向こうだって昨日の相手が私だってことぐらい気付いてるはずだ。

そんな環境で今まで通り仕事をしろと。

仕事だし割り切らないといけないのは分かる。

分かるよ…でもね、こんなことになるなんて私聞いていませんが。
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