方言男子に恋をした
…そういえばこの先の社内報の指示は私が出し続けていいのかな?

前の課長は私に任していたし、確認とかをするぐらいだった。

以前がどうであれ、佐久間課長に合わせる必要がある。


「課長」

「はい?」

「この先も私が社内報作成の指示を出してもいいですか?確認、報告は逐一しますので」

「えぇ構いませんよ。慣れている方に任せた方が効率もいいでしょうし」


よし、頑張った私!

仕事と思えば、一夜を共にした相手だって関係ないのよ。
かなりの高確率で課長とプライベートでは関わらないだろうし(そもそも関わりたくない)、この調子で過ごしていけばいいのよ。

うん、そんなに気にしなくて良かったわね‼︎

すっかり安心しきっていた私。
もちろん何の警戒心もなかった。
だから、


「あ、松田さん」

「はい、何でしょう?」

「何かあれば言って下さい。無理だけはいけませんからね」


佐久間課長にしては珍しい、意味ありげではない微笑みにここが職場だということを忘れてしまった。

え、何よあの裏のない微笑み。

まさか計算?

いや、でも計算でやったところで、課長には何のメリットもないし…。


「詩織先輩‼︎」

「は、はい!」


別の世界に行ってしまっていた私は、毎度恒例のように後輩に呼び戻されることになった。
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