方言男子に恋をした
軽くストレッチをしながら、何か飲み物でも…と考えていた。

あぁ、もう少し早く行動に移しておけば良かったと後悔するのは直後のことである。


「無理しんときって言うたやん」

「⁉︎」


急に聞こえた声に、これでもかというくらい焦った私は思わず立ち上がってしまった。

バッと振り返るとフロアの入口に、通勤用カバンとビニール袋を下げた佐久間課長が立っていた。

何故そこに⁉︎
課長帰ってなかったの⁉︎

ていうか、言葉遣い変わってません?
敬語とか思いっきり抜けてますけど!

頭の中には次々に疑問が出てくる。
しかし答えが見つからない。

加えて言葉も出て来ず、ただ佐久間課長を見つめるのみ。


「何なん、その幽霊でも見たような顔」

「そ、そんな顔してません!」


佐久間課長は少し難しい顔をしてこちらを見てくる。

思わず言い返したけど、誰のせいだと思ってるのよ!


「それよりご飯は?食べたんか?」

「食べていませんが…」


いやいや…自分でふっておいてスルーですか。
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