七色マーブル【短編集】
俺はコイツのせいでオープニングやエンディングは愚か、エンドロールすら見る事が出来なかった。


本編前のCMからエンドロールまで。あの雰囲気。先に帰りゆく客のざわめきをBGMにエンドロールを見つめながら映画の余韻に浸る。それを完遂しなければ俺の映画鑑賞は終わりとは言えないのだ。


俺のささやかな幸せを阻む者を、何人たりとも許しはしない。


だからその代償として、コイツのエンドロールにデカい名前を刻む事に決めた。



たっぷりと利子を付けて。





俺の長い夜は、今始まった。








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