bitter sweets
04. 無意識の誘惑 : 悠真
 「すごー-い!かわいい!こんなかわいい子とデートとかしたいよね~」
 「ええ?じゃあデートします?小寺さん?」
 「いいの?じゃあ、中華街とか行っちゃう?俺最近横浜行ってないんだよねー」
 「じゃあ、連絡先交換しましょ(はあと)」


 みたいな。


 子供のころから「あそぼ」っていつも誘われる。誘われれば全力で遊んでくる。

 ずっとそれの繰り返し。

 中学卒業して高校入ったあたりから遊び方を全力にし過ぎて、高校やめたりなんだり、親や美羽には迷惑かけたけど、今や悠真さんは立派な社会人やってる。

 異存無しでしょう?

 でもどういうわけか真面目に正しく人の迷惑にならないように生き始めてからの俺の印象が女癖悪っ!というわけで。


 確かに女の子は柔らかくてあったかくて気持ちいいから大好きだけど、どうしてそうなったかなあと割と真剣に思う時がある。手当たり次第に食い散らかしているように言われるけど本当はそんなんじゃない(当社比)。

 それに俺が狙って落とした女の子なんていないんだけど。俺に気がありそうな女の子が近づいてきたときに、その子が好きそうな事を言ったりしたりすれば簡単に転がり落ちて来るというシステム。

 ほとんど自動操縦。

 そういうのを楽しんでいるうちに、俺の印象はどんどんそっちに引っ張られていったのであった。

 そして俺は、Eテレでテレビ体操すら始まっていない朝の6時15分からチーズオムレツを作っている。
 思考と行動は関係ない。こう見えて俺は家庭科全般が得意だ。手先が器用なんだよね。

 なんなら試してみる?……ってかこういうのがチャラいとか言われるのか……ごめんなさいもう言いません。

 昨夜の俺がしでかしたことを夏妃は怒ってるから、ここはひとつ朝ごはんでご機嫌をとらねばと企画した。


 単に眠れないうちに朝が来たからということも一理ある。
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