運命の人

怪我

放課後の部活。
お互いの怪我の状況から変に思うところを確認し合う日だった。
「美樹のふくらはぎの張りはよくなってきた?」
「うん、かなり順調。今なら外周いけるわ」
「じゃあいってらっしゃーい」
冗談冗談!と美樹は笑う。
「由梨香は?変なとこある?」
「うーん…、太ももが相変わらずかな…」
「ストレッチ不足じゃない?」
「…かもね、ちゃんとしないと」
陸上部は足が命。
一回の怪我で二度と走れなくもなる。
そのため少しの異変でも気づくことが大切。
「先輩!1年終わりました!」
後輩の坂本雅が走ってくる。
彼女は笑顔がとても可愛らしい。
「はいはーい、んじゃそろそろ始めますか」
今日のメニューはアップの後、珍しく100m走があった。
「由梨香、太もものとこ考えるとこれ止めといたほうがいいんじゃない?」
「大丈夫大丈夫!」
「先輩、無理はしないでくださいね?」
少しなら、その考えが間違いだった。
太ももが破裂したみたいな痛みを感じる。
もう走れないんじゃないかって思うほど。

それが現実になってしまった。
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