Ｑ.草食系男子の捕獲方法を教えてください。

『…あ』

その時、２組森下璃子が振り返って、思いっきり目があってしまった。

ヤバイ。
何か話し掛けないと、このままでは、俺はただの変なやつだ。

『…あ、図書館でたまに会うよね』

今のは大丈夫だろうか。
図書館、という響きに、何かいやらしい感じはしなかっただろうか？

２組森下璃子は、写真集を鞄にしまいながら立ち上がると、制服のスカートをかるく手ではらう。


『うん、たまに会うね』

俺は出来るだけ、爽やかな笑顔を向ける。見た目だけは間違いなく草食系男子なはずだ。

『その制服、同じ学校だよね』

学校で何回も見て知ってるくせに、何を白々しいことを言ってるんだ、俺は。

『そう…みたいだね』

２組森下璃子は足元の草花が気になるようで、下を向いている。

『……』

会話終了。


草花か
哲学か
草花か
哲学か…


『えっと…私２年生なんだけど、あなたは？』

なんてことだ。
２組森下璃子から会話をふってきてくれた。


『え、俺も２年。７組の草野奏、です』

つい嬉しくなって自己紹介をしてしまった。


『私、２組森下璃子』

うん！知ってる!


『あ、そうなんだ』

(たぶん)爽やかな笑顔で俺は言う。