白い月~夜明け前のその空に~


僅かに口付けされた手を片方の手でそっと押さえる。


(ほんっとにわかんないなーあいつ。調子狂う)









夕飯の買出しに近所のスーパーに寄った帰り、後ろから幼な声が聞こえた。


一生懸命彼女の名前を呼ぶ。



「ゆぢゅーーーーーーーう」



振る返ると、朝元気良く送り出してくれた瞬が、陸とおばあちゃんに手を引かれて歩いている。



「しゅーーーん」


優月はすかさず、三人の元へ駆け出す。


いつも保育園の迎えはおじいちゃんおばあちゃんがしているが、こうして優月や陸が一緒に帰ることもある。




彼らの家族構成は少々難しいとこもあるが、傍からすれば普通の家族に見えるだろう。

< 18 / 465 >

この作品をシェア

pagetop