白い月~夜明け前のその空に~

最近は特に優月との間に距離を感じていた。


彼氏がいると知った時もすごく動揺した。

寂しい気持ちや嫉妬のような、複雑な気持ちが入り混じって…。




どうしたら前のような仲に戻れるのか、ずっと考えていた。

今日だって、ちゃんと話そうと覚悟して迎えに行ったのだ。



でも自分の中で何かおかしいことが起きている。



だって、彼氏がいると知ったときよりも、あの光景に遥かに大きい衝撃を感じているのだ。





ふいに優月の手を握ってしまった時の感触が、勝手に陸の手に蘇ってくる。

忘れようとしたはずなのに。


小さくて柔らかい、子供の時と違う温かさ…。



優月の頭に触れたくても、触れられない痛み…。




どうしてだろう…。



でも、もう悩む必要はなくなった。





今日その答えに気づいてしまったのだから。




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