白い月~夜明け前のその空に~





【…陸が好き。でもそれだけでいい。一緒にいられるだけで毎日幸せだから】





幼いながらも、確かに兄として慕う好きとは違うと分かっていた。


それと、お伽噺の姫と王子のような関係にはなれないこと。




そのうちこの気持ちも、忘れるものだということも。










けれど、間違っていた。




10年過ぎても忘れていなかったのだから。







彼女の心の奥で光が灯るなら、きっとそれは、淡い桜の花の色をしているだろう。


まるで、再会した時に側にあった大きな桜のような。







ひっそりと揺れながら…。










< 50 / 465 >

この作品をシェア

pagetop