白い月~夜明け前のその空に~


そして薄々感じていたことと、繋がる気がしていた。







陸のクラスの文化祭の出し物は、パンケーキ屋。


調理実習ですでに彼の料理の腕はすっかり評判だった。


そんなことから、調理の手順からアレンジまで全て陸が監修することに。



「相園、このくらい焼けばいいっすか?」


「あー、あともうちょいだな。で、すぐ裏返して」


コンロの前で、まるで店長のごとく指導したり…


「ねー相園君、さっき絵描いてたよね。かわいい描き方教えて」


「いいよ。何がいい?」


「やったじゃん聖羅!」


「えっと、ウサギ?」


「了解」


パンケーキの上に、チョコソースとホイップクリームで絵を描いてみせたり…


あちこち引っ張りだこの陸だったが、無駄口は決して言わず、文化祭に向けてみんなの指導に熱を入れていた。
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