白い月~夜明け前のその空に~


あの日、小柳がいなかったら…。



陸の視界を掠めていく、いつかの儚い面影を見ることもなかったはず。







風が連れてきたのか、それとも、陸の中にずっとあったからなのか…。




湿った風の中に感じたざらつきは、決して陸の思い過ごしではなかった。






ただのクラスメイトとして、彼女と業務的な会話をしていた頃には、もう戻れそうになかった。











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