みんな仲良いよね、そうゆーこと。


「壁ドン」

「ん?」

「だからー、壁ドン!」

「…は?」

「か、べ、ど、ん!」

「だからそれが何だよ」

「今ちまたでは壁ドンがブームなのであります!」

「あぁ…そうだな。CMでもやってたもんな」

「それでですね、壁ドンのシチュエーションを何通りかあげてみた!」

「ふーん」

「で、脳内シミュレーションしてみた!」

「いわゆる妄想ってやつですか」

「その結果、完全に悪手の一言に尽きる…っ!」

「え、何突然。悪手?」

「そう…壁ドン。アレは相手を追い詰める事によって発動する技…決まれば無敵と言っても過言ではない大技なのだが…正直、見過ごす事の出来ない大きな穴がある。あたしからすればあそこまで追い詰めておいて…と。そこで収まるのならば、だとしたらもっと違う、もっといい戦法が…そうなるともはや、その瞬間の最悪な一手とも言わざるを得ない」

「い…いやいや何の話?今何の話だったっけ?」

「だがしかしだよ。そんな見えっ見えの穴。普通だったら完全に間違いなはずの手。それなのにそこに何故か気づかない、いや気づけない、むしろ見ようとしない、壁ドンにはそんな乙女が増量増産増加中でね…いやはやこれがお決まりという物か、定番化した強みという事かと。てゆーかもう乙女相手ならここまでくると必殺技?発動しちゃえば問答無用?みたいな」

「…そりゃあたいそう凄い技だな」

「そうなんだよ!悔しい事に何故か乙女の胸キュンを一発で仕留めやがる!それはもはや向かいのビルからでも確実に狙い撃ち出来る程の精度…!」

「そりゃあたいそう太い眉毛のスナイパーだな」

「でも…だけど、あたしは負けない。あたしは絶対にその穴をつく!例え必殺技のセリフの途中で遮るような無粋な真似になったとしても、それでもやっぱりあたしには見過ごせない…っ、見過ごすなんてあたしには出来ない!…って事で、実践演習します。水森、壁ドンの用意」

「は?」

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