佐々倉のカノジョ。

男子会



ピンポーンピンポーン


「……」

ピンポーンピンポーン


「ん…」


「ピンポンピンポンピンポーン!!佐々倉さぁーん!!昼ですよぉーっ!!」


うるせぇな。

璃乃の家に行ってから、3日がたっていた。

そんな日の午後になったばかりの頃、俺の家にアホがやってきた。

家っつったってアパートだけど。


アホとはもちろんツルのことだ。
  
いいや、だるいし、無視しよ。

ごろ、とクーラーの効く部屋にあるベッドで転がる。

あ。

「おい嵐ぃ!俺が溶けてもいいのかぁっ!」

「いいぞー」

「嵐……、なぁに?なんかうるさい…」

俺の横で目を擦りながら起き上がる女。

コイツは俺が高校入ってすぐのときからの付き合い。
あぁ、そういう関係の、ね。


俺が呟いた途端にドンドン、と叩く音が止む。

まさか本当に溶けたわけじゃあるまいな。

少しだけ(本当に少し)心配になって、女に俺のパーカーを着せて、扉を開けに行った。

「なん…、あ」

そこにいたのは、ツルと、ツルが連れてきたであろう管理人さん。

「あーっ、起きてんなら開けろよなー」

「あら、佐々倉くん元気じゃないの。まったく、人騒がせね、ツルくんたら」

鍵をジャラジャラしながら帰って行く管理人さん。

人が良すぎるおばちゃんなので、ツルに振り回されること多し。

「なに管理人さん呼んでんだよ」

「お前が開けねーからだろーがっ」

ぷんすか!と擬音を口にしながら俺の部屋に入ろうとするツル。


と、玄関にある明らかに女物の赤いハイヒールを見て、俺を見る。

「なんだよお前、また遊んでたのかよ。ちぇー、お菓子いっぱい買ってきたのに」

「お菓子ってガキか。昨日は別に俺は呼ばなかったんだけどな


勝手に来たから勝手にやってやったんだけど。


「今から帰らせるからちょっと待て」

バタン、と重い音がして扉がしまる。
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