恋をしようよ、愛し合おうぜ!
・・・知らなかった。
セックスがこんなに・・・楽しいものだなんて。

今まで苦痛に感じたことは一度もない。
だけど、相手との触れ合いに、ここまでの愛情を感じたのは初めてだ。

野田さんに触れられるたびに、私の心は喜びで満たされていく。
そして私なりの愛情示すため、野田さんに触れると、野田さんは眉間にしわを寄せて、「うぅ」といった声を出す。

野田さんの感じている顔と声も、すごくセクシーだ。
もっと見たい。
見せてほしい。
と思うのに、なぜか野田さんは唇へのキスを拒んでいる。

「も・・のださんっ」
「まだダメだ」
「なんで」
「今おまえとキスしたら、俺イっちまうからよ」
「な・・でも野田さん、私の体中にキスしてるじゃない!それに始める前にキスしようとしたのに」
「それは別だ。おまえの唇にキスしたら、絶対ベロチューまで行く。おまえのベロに絡まれたら俺・・・絶対イく。あ、やっべー。想像しただけで濡れてきたぜ。さっきなつきが止めてくれて助かった。てか俺、そっち方面は淡泊だと思ってたのによー。パンツ濡れそうなくらい盛ったの、マジで初めてだしよ」
「わ、わたしだって・・・あっ、こんな、何度もイ・・・ないも、んっ」
「いい顔してるぜ、なつき」
「や・・よゆーないって言ったの、だれ・・・」
「先になっちゃんをイかせる余裕くらいは持ってないとな。俺のプライドに関わるんだよ」
「・・・へんなの。わあっ!」

野田さんがいきなり私の両足首を掴んだ。
と思ったら、野田さんの肩に私の脚を乗せて・・・。
「はぁぁ」という満足気な声が、お互い漏れ出る。

「感じてんな」と聞いてくる野田さんの低音ボイスは、出し入れしながらだからか、少しブレ気味だ。
そこにまで感じながら、私は野田さんが突くリズムに合わせて体を揺らしながら、「うん」と答えた。

野田さんはフッと笑うと、私の両脚を掴んだまま、私の方へ体を倒してきた。

「どうだ・・・」
「ま、まくら、ぬれちゃ・・・うぅ!」
「俺が腕枕してやる。だから気にせず、どんどん・・・濡らしていいぜ」
「う、あぁ、のださ・・・も、イく!イくからっ!」
「おう。イっていいぜ。俺ももうすぐ・・・イくからよ」

野田さんの許可が下りたから、というわけじゃないけど、それからすぐ、私は大きなオーガズムを迎えた。

「・・・のだ、さん・・・」
「あぁ、すっげーな、なつき・・・俺もマジすぐ・・・うっ」

野田さんの息遣いが荒くなってきた。
やっとイく気になってくれたか、と少しだけ安堵する。
だって小さかったけど、私だけ何度もイってたから、今度は野田さんにもちゃんとイってほしい。

私は「野田さん」と言いながら、上にいる野田さんのわき腹から背中へ両手を這わせると、自分の方へ引き寄せた。

野田さんの体も熱くて汗かいてる。
でも私とは違って、すごく筋肉質だ。
「カッコいい男!」って感じ満載。

野田さんは、やっと私のほうへ近づいてくれた。
私は「よかった」と思いながらニッコリ微笑むと、野田さんの唇にキスをした。

「うっ・・・なつき。それ、マジで・・・反則だぜ。そのキスは・・・」
「まだまだ、これから。もっと・・・」と私はつぶやくと、また野田さんの唇周辺を舌でなぞって、今度は口の中へと侵入した。

すぐお互いの舌が絡み合う。
さっき言ったとおり、野田さんはベロチューにすごく感じているらしく、挿入の動きも息遣いも、ますます荒くなってきた。

と思ったら、「うっ、ああっ!」と野田さんは唸ると、動きを止めた。
目を閉じて、眉間にしわを寄せ、両腕を震わせている野田さんのイき顔は、とてもキレイだと思った。

男の人に対して「キレイ」という表現は失礼かもしれない。
だけど、野田さんの顔だけじゃなくて、姿そのものが、完成された作品のように美しくて、それでいて活き活きとしていて、色気に満ち溢れていて・・・そういう「キレイ」さを私は感じた。



野田さんは息をフゥーっと吐き出すと、下にいる私の方へ倒れこんできた。
私は野田さんの髪をひと撫でした後、汗まみれの背中を、あやすように撫でていた。
野田さんの速い鼓動が、私の胸に伝わってきている。
ここに在る全てがとても愛おしい。
今の私の心は、幸せな気持ちで満たされているのを実感した。

「なつき・・・」と野田さんはつぶやくように言うと、私の額に額をコツンと合わせてくれた。
野田さんの息遣いはまだ荒い。

「俺・・・世界で一番、おまえのことが好きだ・・・」

荒い息を整えながら野田さんはそう言うと、私の髪を撫で、頬に手を当てて、私の目から流れ出る涙を、指先で撫でるように拭った。





幸せは、誰かに与えてもらうものだけじゃない。
幸せは「なる」もの。

そう教えてくれた野田さんと一緒にいるだけで、私は幸せだ。
そして野田さんは、私と一緒にいるだけで幸せを感じている。

どちらか一方が寄りかかるんじゃなくて、お互い寄り添うことで、私と相手の視野はグンと広がると思う。
それこそ二人分以上に。
相手を抱きしめるときもあれば、相手に抱きしめられるときもあることで、自分と相手への愛情がますます湧いてくると思う。
それこそ人生が豊かになるくらいに。

お互い与えて与えられる。
お互い頼って頼られる。
そんな関係を、これから野田さんと築いていきたいと強く思った瞬間だった。


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