不機嫌なアルバトロス
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「花音ー、昨日大丈夫だった?」



会社に出勤すると、開口一番に憲子が訊ねてくる。



「…うん。。」



曖昧に頷いて、デスクにマイボトルを置いた。



「ってかさぁ、会社知られてるのってヤバくない?なんで知ってるんだろう?」



「…はは、だよねぇ…」



私もそれはずっと心に引っかかっている。


だからこそ、中堀さんにもちゃんと訊かなくてはと思っているのだ。



二週間後の身の振り用をどうすればいいのか、私には皆目検討がつかない。



「下手したら、クビになりかねないよ?脅されるかもしれないし…」



脳裏に昨夜の志織さんの顔が思い浮かぶ。



そんなことをする人には思えないけど、中堀さんが居なくなってしまったら、会社に訪ねて来ることはあるかもしれない。



「…今日、訊いてみる…」


「今日って…会うの?」


しまった。うっかり口に出してしまった。



「…いや、その、、なんといいますか…」



あぁ、どうしよう。上手い言い訳が思いつかない。


会うっていうよりも、あのクラブに行けば会えるんじゃないかっていう希望的予想であって、もしかしたら会えないという可能性だってある。


それでももう一度あの場に足を運んでみたいと思うのは、それによって、彼のことが何かわかるかもしれないと考えたからだ。


現に、バーテンダーのおにーさんんも、タカっていう男も、彼の事を知っている風だった。


大分うろ覚えではあるが、彼としていた会話の中に、ひっかかる言葉が幾つかあった気がするのだ。



「私も行く!」


「―へ?」



あーでもないこーでもないとぐちゃぐちゃ考えていた私は、憲子の一言に目を見開く。



「だから!今日会いに行くなら、私もついていく!」




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