不機嫌なアルバトロス
「今でも、かなり…ど壺にはまってるでしょ。ただでさえ、その相手の女だって花音の会社知ってる位なんだし、良い様に使われて終わっちゃうよ?」



憲子の言うことは至極最もなことだ。



「しかもDJでかなり売れっ子みたいじゃない?なのに詐欺してる意味がわかんないし。花音にも手出してくる辺り生粋のタラシよ。女を翻弄するテクニックを持ってるのよ。やばいよ。」



だけど。



「本当の名前、教えてくれたのは、、、どうしてだろう?」



皆と同じように、嘘を吐かなかったのは、何故?



「花音…。本当の名前を知ってても、呼んで答えてくれなかったら、意味がないんじゃない?そうやって、もしかしたら自分に気があるかもしれないって考えは捨てたほうがいいと思う。」



「!そんなつもりじゃ…」



「こんなこと言いたくないけど、花音、必死になってる。必死になると人間正しい判断が出来なくなるよ。…とにかく、ちゃんともう少し寝なよ。ほら、そのミルクティー飲んだら、しっかり薬飲んで。」



憲子は宥めるような口調でそう言うと、薬と水を俯く私に渡した。



私は言葉を発しないまま、言われたとおりにして、ベットに横になった。

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