不機嫌なアルバトロス

―外が見えるガラス張りのエレベーターは嫌い。




昇っていく時はまだマシだけど、降りていく時は本当に落ちてしまうんじゃないかと怖くなる。





愛のないキスもキライ。



気持ちがどこにあるのかわからないから。




手の届かない恋愛はつらい。



だって、触れることすらできないから。




だけど。



こんなに馬鹿な自分は大嫌い。



こうなることは、わかっていたのに。



自分からかけられてもいない網に引っかかって、暴れて自滅したアホウドリ。



なのに、その網から逃れることはしたくない。



あなたに捕らえられたかった、愚かな鳥。
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