不機嫌なアルバトロス
「葉月の声は、、、頭に響くんだよ」



よく伝わるように、耳を塞ぐ仕草をして見せた。



「知ってるし!よく言われるし!」



いや、褒めてねーんだけど。



得意気にVサインする葉月に呆れる。




「ここで何してたのー?今日は気分がノらないの?」




五月蝿く問い詰めてくる葉月に、いささか面倒臭さを感じ始める。




「んー…まぁ、そんなトコ」



どっかいってくんないかな。





「ふーん…」



つまんなさそうな返事をして、俺の隣まで来た葉月は、何を思ったのか突然俺に抱きついた。



「…やめろよ、煙草の灰掛かるぞ」



「いーもん」



抱きつかれた方とは逆の手で煙草をもてあそび、溜め息を吐く。



「離れろよ」



「じゃ、キスして」



葉月は大体いつもこう言う。



俺も面倒だから、それで終わるならと応じてさよならする。



―面倒だなぁ。



思いながら、上手く上がったカールする睫毛が閉じられるのを確認し、顔を近づけた。







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