不機嫌なアルバトロス

開かれたファイル。


目に飛び込んできた画像に。




「これ…」




言葉を、失った。




私は慌てて部屋の隅に置いたままだったバッグを引っ繰り返す。




「ないない、、、、ない…」



どこ、行っちゃったんだろう。



中身を床にぶちまけたまま、今度はクローゼットを開けて、掛かっているコートをひっぱり出した。



そのポケットに手を突っ込み、中身を探る。



直ぐに、紙の感触が伝わった。





「…あった…」




すぐさま、そこに書かれている連絡先に電話を掛ける。





《もしもし…?》





数回のコールの後、比較的早く、相手の声が聴こえた。





「タカ…?」




《……その声は…もしかして…カノン、ちゃん?》




息を呑んだ後の声には、驚きが含まれていた。



「うん…、あのっ…」



気持ちばかりが先走って、言葉が上手く出てこない。




《何か、あったの?》




えーと、すごく急いでいるから、、一言で表わさなきゃ。




そうだ。


これしかない。




「助けて…!」





外は、寒い。


欠けた月は、高い位置に。


私の部屋の有様は、めちゃくちゃ。


ゴミ箱は倒れて、中身は床に散らばっている。


バッグの中身も同様に。



パソコンの画面に映し出されている画像は開いたままになって。





壁に掛かる、時計の針は、1時を過ぎていた。




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