不機嫌なアルバトロス
「…後悔するかもよ?アオのことは、燈真に聞いたんだろ?」


時折二人の間を吹き抜ける風が、私の髪の毛を揺らして、視界を狭くする。



「あの…中堀さんの、、、DJじゃない仕事の方のことは…タカは知って…?」



タカが首を振ったので、私は最後まで言わずに口を噤んだ。



「あっちには、俺は関わってない。だけど、なんとなくは、、わかってたよ。全国のどこにいるかもわからないのに、燈真はアオの近況をよく知ってたから。」



「じゃ、なんで―」



「止めなかったのか?」



言いかけた問いを、タカが繋ぐ。



「そんなことしたら―」




月明かりの下でもわかる。


瞳の切ない揺らめき。





「アオは駄目になる。」




タカはそう言って、上げた視線をまた地面に戻した。





「人間って、、やっぱり…生きる意味が、欲しい生き物なんだな。」




それが例え―


ひどく哀しい生き方でしかなくても。




「荒れたアオを知ってる人間は、アオからそれを奪うような…そんなこと、できない。」




タカの声は、自責の念にかられているように、苦しそうだった。
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