ブラコンVSシスコン
こんなことだったら化粧なんてしてこなきゃ良かった。
少しでも大人っぽく見せたかったのに……。
逆に大笑いされて、この顔を直すことすら出来ないなんて……。
やっぱり、子供だって思われても当然だよね?
「美紅?」
遼に呼ばれてもどうしても鏡を下げられない。
こんな顔、遼に見られたくない。
「あの……ちょっ、トイレ……」
そう、立ち上がった瞬間、遼に腕をつかまれた。
大きな大きな遼の右手。
「ごめん……からかってるわけじゃなくて……」
「あ、うん。とりあえず……直してくる」
静かにそう言った遼の腕を振り切ってトイレに走る。