届かぬ声を、君に。



「だから、この指輪。本当は、響也から渡すのがいいと思うんだけど」



そう言って、樹里ちゃんはその小さな箱を私に差し出した。



「………でも………これは受け取れない」



「え?」



「響也が目を覚ましたら、響也に直接つけてもらいたい」



わがままでごめん。



でも、響也が目を覚ますと信じたいから。


「うん………わかった」





< 118 / 125 >

この作品をシェア

pagetop