届かぬ声を、君に。



「ごめんね、優花」


私は、優花のいるベッドの脇に座って謝った。


「……なんで、舞香が謝るの……?」


優花が、そう言った。


優花のその小さな声は、かすかに震えていた。


「優花………?」


優花が、泣いていた。


他人に涙を見せない、しっかり者の優花が。



優花の涙を見たのは、初めてだった。


「ごめんね、舞香……」


優花が、私の手を握ってそう言った。


「大事なこと、隠しててごめん………」



< 90 / 125 >

この作品をシェア

pagetop