守ってダーリン!
暦の上では、すでに春を迎えていた。

とはいえ、そんなものは名ばかりで、3月に入ったばかりの土曜日は、まだまだヒンヤリと寒かった。

市谷さんの車の窓から、見慣れない街の風景を眺める。

これから、私たちは市谷さんのお兄さん一家に会いに行くところだった。

「やっぱり・・・緊張します。」

市谷さんの家族に会えるなんて、と、飛び上がるように喜んだ私だけれど。

いざとなると、うれしさよりも緊張の方がはるかに上回っている。

手土産に買った近所でおいしいと評判の洋菓子屋さんのプリンの箱を、私は膝の上できゅっと握った。

「大丈夫だよ。兄貴は女癖は悪いけど、基本的に・・・というか、女の子には特に優しいし。

奥さんの涼子さんも、話しやすくていい人だ。」

緊張をほぐすように、市谷さんは私に優しく語り掛ける。

「チビ二人もいい子だ。・・・叔父バカだけど。」

照れたように言う市谷さんの様子が新鮮で、私はちょっとドキッとする。

「・・・仲良くしてくれますかね?」

「大丈夫だよ。二人とも人懐っこいし。遊ぼう遊ぼうって、うるさいくらいだと思うぞ。」

市谷さんは笑いながら、車のウインカーを右に出した。
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