上海往来

豫園界隈

朝タクシーで豫園へと向かう。
頑丈にガードされた運転席に驚いたが、
中国ではどこでもそうみたいだ。

まずは豫園に入る。外人観光客も多い。
石と樹木の有名な庭園だ。

庭園内には土産品店がいくつかあって
いかにも老獪そうな老人が客を呼び込んでいる。

中国語、日本語、英語、韓国語で声をかけてくる。
先の二人はドイツ人だったのでとまどっていた。

出口の篆刻屋からゆっくりと店頭だけを見て歩く。
小さな店がぎっしりと連なっていて下町情緒たっぷり。

竹細工がちょっと目を引いたくらいか。
後はいわゆる中国物。

豫園の北側卸問屋街に向かう。
狭い通路にびっしりと品物が置いてある。
あっとけつまづいたら誰かのどんぶりだった。

足早に立ち去ったがおばさんの
まくし立てる声が後ろから聞こえた。

大変なのはトイレ。嫁はんと娘は大型貴金属店の
2階に列を作って並ばねばならなかった。しかも
そこは日本とは比較にならないほど汚かったとのこと。

両替はここが中国銀行?と思うほどのコンクリートガレージ。
入り口にガードマンが一人立っていて、入ると
鉄格子の中に一人職員がにっこり笑って座っていた。

豫園の路地裏を歩く。薄汚れた古いおお造りのアパート。
瓦礫の山。どこもほこりっぽい。

向こうからおじさんが歩いてきた。手に持っているのはぶたの足。
嫁さんと娘は思わず吐きそうになったみたいだ。
アジアの裏通りは女達には無理かなと思う。

露店から小さな店舗がずっと切れ目無く続いている。
「ライライライ!」といって荷物いっぱいのリヤカーが通る。

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