【短編】穴
「さぁ、どうぞ召し上がれ」


冷たい麦茶と西瓜をおばあちゃんに勧められた。


ごくごく……と、一気に飲み干した私は、この家を探検してみたくなった。 


「ねぇ、いいでしょう?」


口に氷を入れたまま、気乗りしないお兄ちゃんを道連れに、探索に乗り出した。 


母屋の東側に池を見つけた。 


ポッチャ〜ン


静かな庭に響き渡る音。


振り返ると、そばにあった小石を、お兄ちゃんが池に放り込んだんだ。 


「お兄ちゃん!鯉がビックリしてるじゃない!」


「…うっせえな!お前さぁ、探検なんかして何が面白いの?」


「それを今から見つけるんじゃない!」



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