平凡。
1章
桜がちらほら咲き始めた3月頃、
わたしは3年間を共にした仲間たちとの別れを惜しんでいた。

今日は中学の卒業式。

皆、学校の中庭にて思い出話に花を咲かせている。写真撮影をしている人もいれば、お互いのアルバムに名前を残している人もいる。

わたしは、その場に居づらかった。

黒ぶち眼鏡に、顔くらいまで伸びた前髪。
見るからにお堅そうな容姿のために、わたしは毎年クラス替えのたび、皆と馴染むことに苦労していた。

例年ならわりと打ち解けているはずなのに、最後の年に限ってあまり上手くいかなかった。最後まで名字にさん付けされた。たまに敬語だって使われた。

帰宅し、撮った写真やアルバムの寄せ書きコーナーを見返してみれば、そこに見えるのは2年生のときや1年生のときの仲間たち。
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