初恋ノ音色 〜海ハ今日モ唄ウ〜
Chapter 1

「俺と、付き合ってください!」



「……」

これで今日三回目の告白。

他校の男子のちょっと真面目なナンパを入れたら六回目か…。


「ごめんなさい。
あたし今は誰も好きじゃないし、
あなたと付き合う気もないから」


あたしはそう言い捨てて、屋上を後にした。


告白をされるとき、いつもあたしは一刻も早くその場を立ち去りたくなる。


相手はあんなに真剣に告白してくれるのに

あたしはその思いに答えられないどころか

人を好きになることすら、出来ない。


二回ほど試しにタイプの人と付き合ってはみたけれど

結局無理だった。


人を好きになったことがないあたしは

人を好きになる方法を知らない。


人を好きになったときの感情を知らない。


そんな自分が恥ずかしくなるから

告白をされたら、速攻断ってその場を立ち去る。


「はぁ…」

ため息を吐きながら、教室に戻った。

でも、"どうしたの?"と聞いてくれる友達は

あたしにはいない。


あいさつ程度の人ばかりで取り分け親しい友達と呼べる人はいない。

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