オオカミシェアハウス
彼は私を見やると、ニコリと笑って言った。
「良い家があるんだけど、紹介してあげようか?」
「え…っ、本当ですか!?」
思いがけない提案に、立ちあがってまで答える。
「うん。ああ、そうだな…君、得意な家事は何?」
「家事、ですか?えっと、料理です」
私が答えると、彼は更に笑顔になる。
「よし、じゃあOK。家賃はこれくらいでどう?」
彼が示した数字は、吉野荘とほぼ変わらない、いや、それよりも少し安いくらいだった。