蝶子の夢【完】
さわさわと風が部屋に入り込んでくる
伸びすぎた前髪がふわりと持ち上がって頬にかかった
「あらあら。前髪……伸びてきたね。切りに行けないものね。お母さんが少し切ってあげようか?」
さらりと髪をなでながら悲しそうな顔をする
そんな顔をみると、何故か胸がぎゅっと掴まれた気持ちになる
「大丈夫だよ………久しぶりに……前髪ないのも、新鮮かな」
本当は前髪ある方が落ち着くけれど
今は切るために起き上がるのも苦痛だし迷惑かけるのも……
おかあさんはそっかと短く返事をすると窓の外を見つめた