【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん


さぶちゃんたちはずっと笑っていて


「平良が料理の番人ばい」


さぶちゃんや植木さん、そして三浦さんが箸を伸ばすのは邪魔をしない。


サラダだけは邪魔をしないから私と由香里さんは草食動物のようにずっとサラダばかりを食べていた。



「あーお腹いっぱい」


「いっぱいじゃなきゃ驚きますって」


植木さんの笑い声にみんなで笑ってしまった。


本当に楽しい挨拶まわりだった。


いっきに知り合いが増えたという感じで姐さんたちとは同じような事で不便を感じたりすることもわかった。


そして極道だからと違う人種なわけじゃないと改めて思う。


いい事をしているわけじゃないというのは理解している。


だけど白と黒の共存が社会である。


ともにあるから成り立っているんだと思う。


白の社会には白の社会のルールがあり黒の社会には黒の社会のルールがある。


どちらかに足を踏み入れそのルールを破ったときに争いは起きる。


それは黒の社会が必ずしも白の社会に足を踏み入れ荒らすということではなく白の社会が黒の社会よりも薄汚い方法で浸食していくから黒がそれを覆う。


そして非難をされるのは黒の社会。


黒の社会を知らずして黒を悪とする。


それが世の中ということだ。白の社会に会社の為に命をかけられる人がどれだけいるんだろう。


黒の社会は組の為に自分の大切な命をかけるほど熱い思いだ。


まぁ命をかけなきゃいけないって事が物騒すぎるけれどその純粋さは黒の世界の方が真っ直ぐなような気がした。


そして姐さんたちもまた組を思い自分の愛する人が無事に帰宅する事を本当にせつなる思いで待ち、その顔が見れたときにホッと安堵する毎日だ。


だからこそ夫婦の絆が深まる。



今回の挨拶まわりで私はそんな事を感じた。





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