愛しき日々へ



母さんの葬儀も一段落つき、葬祭場のロビーでふとこれからのことを考える。

俺はこれからどうしたらいいんだろう。

あ、奨学金ってどうやって申請すればいいんだっけ…?

考えなければいけないことは多いのにすぐに頭から消えていく。

「これから…どうしよ。」

そう呟いた声は枯れててそういえばご飯食べてないや…とか思って笑えてきた。

食欲、ないな…。

涙出ないないし、俺ってこんな薄情だったかな。


「絢香(アヤカ)に線香をあげてもよろしいでしょうか?」


ぐるぐるといろんなことが頭を巡っていると不意にかけられた声。

その声に顔をあげるとそこには黒のスーツを着た見知らぬ男性の姿があった。



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