心を全部奪って
席に座ると、課長のデスクの横に見慣れない男性の後ろ姿が見えた。


あの髪色は、アッシュ系っていうんだっけ?


ポメラニアンみたいに柔らかそうな髪質。


細身で長身な後ろ姿は、まるでモデルのよう。


このオフィスには似合わない華やかさがあるけど。


一体、誰……?


「あぁ、朝倉さんが戻ったから、早速ミーティングを始めよう」


課長がそう言うと、チーム全員が課長に注目した。


「紹介しよう。

今日から第一チームに配属になった

霧島拓海(きりしま たくみ)君だ。

簡単に自己紹介してくれるかな?」


課長に言われて、その人がにっこり笑った。


「第二営業部 第二チームから来た霧島です。

社内の第一線チームに来られて光栄です。

どうぞよろしくお願いします」


チーム全員が盛大な拍手をするなか、私は少し驚いていた。


だって、その霧島って人の顔がやたら整っていて。


まるで女の人みたいに綺麗だったから。


この人が工藤さんが話していた、見込みのある営業マンなんだ。


もっと地味で真面目そうな人を想像していたから、


なんだか少し意外な感じがした。

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