心を全部奪って
「ひどい…。

ひどいよ…」


久しぶりに発した声。


やっと出せた声に、身体がホッとしたのだろうか。


それまでガマンしていた思いと共に、涙が堰を切ったように流れ始めた。


「朝倉…?」


私の声に、パッと身体を起こす霧島さん。


「もう、やめて…」


もう痛いくらいに、


充分にわかったから。


だから、もうやめて。


私の頬に触れようとした霧島さんの手を、パシッと冷たく手の甲で払った。


その態度に、霧島さんがびっくりしたように目を見開いた。


「嫌い…」


「え…?」


「霧島さんなんか


大嫌いよ」


嫌い嫌い。


大嫌い。


こんなやり方、ひど過ぎる。



あなたみたいに、



人の心に



土足でズカズカと踏み込む人なんか




大嫌いよ……!

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