心を全部奪って
「「お疲れ様ー」」


二人して巨峰サワーを注文して、カチンとジョッキを合わせた。


「なんか久しぶりだな。

こうして一緒にメシ食うの」


「うん」


そんなに前でもないはずだけど、随分前のような気がする。


「あれから、どう?」


「ん?」


「工藤課長」


「あー…」


工藤さん、か。


この頃の工藤さんは、以前に増して頻繁に部屋に来るようになった。


今までは会えなかった休日も、2週連続で会っている。


「よく…、会ってるよ」


寂しいって思う暇もないくらい。


「そうか…」


霧島君は、テーブルに視線を落としてそう呟いた。

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