心を全部奪って
以前朝倉と一緒に食事をした社員食堂のカウンター席で、


俺は外の景色を眺めながら、一人トンカツ定食を食べていた。


今日も外は暑そうだ。


午後からは三社訪問して、新規の会社を一軒まわるか…。


「霧島さん」


突然聞こえた可愛らしい声に振り返ると、朝倉と仲の良かった佐伯さんが俺の後ろに立っていた。


「あ、どうも」


「一人で食事ですか?」


「うん。

あ、そう言えばさ、朝倉と連絡取れた?」


俺の電話には出てくれないけど、佐伯さんからの電話なら出てくれるかもしれない。


そう思った俺は、佐伯さんに朝倉と連絡を取ってもらい、


もし会えそうなら様子を見て来て欲しいと頼んだ。


自暴自棄になっていないか、ひどく心配だったからだ。

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