心を全部奪って
ひまりの柔らかさを手の平いっぱいに感じながら、


細いうなじに何度も唇を落とす。


耳たぶを甘噛みしたら、ひまりがハッと短く息を吸った。


そのひとつひとつの反応が嬉しくていとおしくて。


天にも昇る気持ちって


きっとこういうことを言うのかもしれない。


縦横無尽に歩き回った唇は、


丘の頂上に辿り着いて。


甘い葡萄を口に含むようにチュッと吸い上げれば、


ひまりはもう身体を起こしていられないみたいだった。


そんな彼女の後頭部に手を置いて、


ゆっくりベッドに横たわらせる。


しばらく二人で見つめ合った後、


俺は彼女を覆い隠すものを


全て取り払った。

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