心を全部奪って
「す、すごい…」


あまりに感激して、思わずほぉと息を吐いた。


「えー?それすごいのかー?」


霧島君がうーんと顔をしかめる。


「なんだよ、拓海。

なんか問題?」


ナオトさんが腕を組んで、霧島君をギロリと横目で睨みつける。


「いや、問題じゃないけど。

でも、なぁ…」


「えっ?どうして?

すごい名案だと思うのに」


「うーん。

俺はちょっと…」


霧島君にしては珍しく、ごにょごにょと口ごもっている。


「ナオトさん。

私、それにします!」


「ようし。そうこなくっちゃー」


意気投合する私とナオトさんを見ながら、霧島君はなんとも複雑そうな顔をしていた。


こうして私は一夜のうちに、次の仕事を決めてしまったのだった。

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