心を全部奪って
「あれっ?」


「あれれっ?」


カウンター席にいる二人が、いきなり私を見て言った。


「拓海。もしかして隣の人は、

彼女さん?」


か、かか彼女?


「バッ。ちげーよ。

同じ会社の子」


そう言いながら、カウンター席に座る霧島さん。


私はその隣に座った。


「いやいや、でも。

拓海が女の子を連れて来るなんて、初めてじゃん。

なんかあやしーねー」


「今は彼女じゃなくても、実は狙ってんじゃねーのー?」


「お前ら、酔い過ぎなんだよ!

ナオトー。

ライムサワーちょうだい。

朝倉は何飲む?」


「あっ、えと。私は梅酒サワーで」


「へい、了解ー」


カウンターの向こうにいるナオトって人が、にっこり笑った。

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